「すみなれたからだで」

窪美澄さんの短編集です。

特に印象に残った残ったは「朧月夜のスーヴェニア」です。
家族に認知症として扱われているおばあちゃんのお話です。
おじいちゃんやおばあちゃんに、まるで小さな子どもを扱うかのように接する人を時々見かけますが、それはちょっと自分にはできない事だなぁと見ていて思うんです。
たとえ体が不自由になって、言葉が思うように出なくても、思考回路まで衰えていると決めつけるのは失礼なんじゃないかと思ってしまうんです。だからなるべく普通に話したいんですよね。

主人公は、そんな身体が不自由で痴呆症と思われているおばあちゃんです。
思うように食事もできない体と、若い頃から衰えていない思考回路のギャップがとても怖くて面白いんですよね。脳にはキャパがあるから、新しく入ってくるどうでも良いことは自ら忘れてしまって、昔の大恋愛は鮮明に覚えているという女っぷりはお見事でした。

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