「逮捕されるまで 空白の2年7カ月の記録 」 市橋達也

今更ですが、読んでみました。
というのも、先日に観た映画「怒り」が衝撃的だったもので。
吉田修一さんが、「怒り」を書くきっかけとなったリンゼイさん事件を知りたくなったんです。
当時は、逃亡者で整形して逃げているんだなというくらいの認識で、本が出版された時も読んでみたい気もするけれど、読んではいけないような気がして手を出さずのままでした。

この本は事件に至るまでの感情は書かれていないのですが、事件直後から逮捕されるまでの2年7ヶ月の逃亡記録が淡々と書き綴られています。
一般的な小説とは違い、過剰に膨らませた表現がない分、逆に痛々しく感じられました。特に自分で行った鼻に針を刺し糸で引っ張る鼻の整形と唇の端を切り落とす部分は活字にすると「痛く熱い」こんなシンプルな言葉だけれど、小説以上の臨場感が伝わってきました。

「怒り」は3人の容疑者が出てきましたが、まるでその3人をまとめて1人の出来事にしたような体験と勘違いがこの一冊に綴られているようでした。
本当は逆なんですけどね。私は「怒り」を先に観てしまったもので。
映画と実際の犯人との人格は別ものですが...。

逃亡時の彼の人付き合いや仕事に対する姿勢、初めは優しくしてくれる人ほど、後からこちらの出かた次第でマウンティングしてきて我慢できなくなる部分などには共感できる部分もあり、読めて良かったと思いました。
あと、テレビのいい加減さに改めて悲しくなりました。

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