「吐きたいほど 愛してる。」新堂冬樹

パンチの効いた中編が4本収録されています。

先ず1本目「半蔵の黒子」は、自意識が異常すぎる不細工な中年男性の素行が可笑しくて、最初はコメディ感覚で笑えていたんです。
ですが、どんどん気分が悪くなってきて、臭いのに嗅いでしまうみたいな勢いで読み切ってしまいました。気持ち悪い人に目をつけられると人生終了ですね。

続きまして、夫の帰りを家で正座して待つ妻のお話。
話は逸れますが、過去に門限が22時という既婚者の男性がいて、それを過ぎると奥様が玄関の前で正座をして待っているそうです。会社の忘年会なんかでも帰りの時間をやたらと気にしている男性を思い出しました。笑
愛なのか何なのか?その男性が過去に奥さんに酷い思いをさせたのか?真相は知りたくないけど、とにかく凄い束縛と人への執着心だなぁと当時の事を思い出しました。色々な夫婦のカタチがあるもんです。
何とかは小説より奇なり。

3本目は、この4作品の中で一番美しいお話でした。
なかなかの純愛もの。
お口直しのシャーベットです。

ラストは娘から介護を乱雑に受ける老人の話。
自分で破天荒という人にあまり破天荒の人はいないように、あくまでも自分は普通と言い張り、よくよく聞くと普通のハードルが異様におかしい人っているよね〜。のホンモノ破天荒あるあるがゾッとギュッと凝縮されております。

言葉も難しくなく、この間読んだ「教団X」みたいに何も考えなくても、サラッと読めるけどゾッともドキドキもできるお手軽なエンターテイメント本でした。
面白くてすぐ読めました。

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