透明な迷宮

2015年1月5日 読書
今年届いた年賀状の中で差出人不明のものが、なんと2枚もありました。
書かれている文章から、たぶんこの人だろうなぁと思うものが1枚と、全くわからないものが1枚。
誰だかわからないけれど、まぁいいかぁなぁーって。こういう年賀状を見ていると平和な証拠だなぁとムフっとしてしまいます。
たとえば、飛んだ人から年賀状が送られてくる事があるでしょう。
どうしても追われているので住所は教えれないけれど、生きてますよという証に送ってくれるワケあり年賀状。
年賀状は消印がつきませんからね。
差出人が書いてあって住所がない年賀状に比べると、差出人も住所もない年賀状は、なんとホンワカとしたものでしょうか。笑

そうそう、「筆跡」のお話がしたかったのです。
この差出人にわからない年賀状の筆跡を見ても誰だかさっぱりわからなかったんです。
学生の頃から付き合いのある友人や、手紙をやりとりした事がある友人ならば、筆跡だけでわかるんですけどね。笑

中学生の頃、プリント配る係りに当たっていた時に、クラスの子のプリントを名前を見ずに書かれていた筆跡だけ見てクイズにように配って楽しんでいたんです。笑
ですが、とても似ている筆跡の男の子が二人いたんです。
そのうちの一人の男の子A君に「A君とB君の筆跡がとてもよく似ていて配る時にちょっと戸惑うわぁ~。」なんて言うと「僕はB君の文字が大好きやねん。それで近づきたいから、いつもマネして似せてるねん。」という衝撃の一言が返ってきて、ここにも筆跡に執着する人がいたよー!となんだか嬉しくなった記憶が蘇りました。

そこで、「透明な迷宮」
平野啓一郎さんの短編集で、少し前に読んだ一冊です。
表題作の「透明な迷宮」も不思議な気分にさせてくれるような物語でしたが、冒頭部の「消えた蜜蜂」は、他人の筆跡をそっくりにコピーできる郵便配達員のお話で特に印象的でした。
筆跡だとかフォントだとか、大好きなのでぐっときてしまったのかもしれません。
人を選ぶ作品だと思いますが、このなんとも言えない不思議な世界にしばらく浸る事ができました。

↓ネットで検索すると、なんと平野啓一郎さんご本人が音読されていました。
お話は冒頭部のみですが、筆者自らの音読だなんて贅沢な時代ですね~。
☆「消えた蜜蜂」平野啓一郎
https://note.mu/hiranok/n/n5adc16b8da20

あなたの筆跡、見られてますよ!

コメント

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索